こんにちは、リサさん。不安な気持ち、よくわかります。今回はデイサービスでよく使われる「見当識障害」について、わかりやすくお話ししますね。見当識障害は「今ここがどこか」「今日は何日か」「自分が誰か」といった時間・場所・人物の認識に困る状態のこと。介護や支援の現場では大切なポイントなので、理解しておくとおばあさまのケアにも役立ちますよ。ゆっくり一緒に見ていきましょう。
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見当識障害とは何ですか？
リサ:見当識障害って具体的にはどんな状態のことを言うんでしょうか？
久保:見当識障害とは、自分が今どこにいるのか、今が何年何月何日か、そして自分が誰であるかといった基本的な認識が曖昧になってしまう状態のことを指します。例えば、おばあさまが「今日は何曜日？」と何度も尋ねたり、自宅と施設の区別がつかなくなったりすることがあります。これは脳の認知機能のひとつである「見当識」の障害であり、本人だけでなくご家族にとっても理解と対応が重要になるポイントです。
リサ:なるほど。見当識がしっかりしていることは、日常生活にどのように関係しているんですか？
久保:見当識が正常であれば、時間や場所を正しく理解できるため、例えば約束の時間に遅れずに行動したり、自身の身の回りの管理を自分で行うことができます。これが乱れると、転倒や徘徊のリスクが高まり、ケアの必要度が上がるため、特にデイサービスでは見当識障害の程度が重要視されています。
デイサービスで見当識障害が重要視される理由は？
リサ:デイサービスの現場で、なぜ見当識障害が特に注目されるのでしょうか？
久保:デイサービスは利用者様が安全に活動し、交流を楽しむ場です。見当識障害がある方は、自分の居場所や時間を正しく理解できず、不安や混乱から転倒や徘徊、さらには他の利用者様とのトラブルが起きやすくなります。だからこそ、見当識障害をしっかり把握して、適切な対応策を講じることが、安全で快適なサービス提供に直結します。
リサ:たとえば、どんな対応が必要になるんでしょう？
久保:例えば、見当識障害のある利用者様に対しては、時計やカレンダーなど視覚的に時間や場所を示す道具を使ったり、スタッフが声かけをこまめにして安心感を与えたりします。こうした対応は事故防止だけでなく、利用者様の情緒の安定にもつながるため、日常的に注力しています。
見当識障害の主な症状にはどんなものがありますか？
リサ:具体的に見当識障害の症状ってどんな感じなんでしょう？
久保:主な症状としては、「時間の見当がつかない」例えば何時に来たのか、何曜日なのかが分からなくなる、「場所の見当がつかない」慣れた場所でも迷ってしまう、「人の認識がぼやける」家族や知人の顔を忘れてしまうといったことがあります。これらは本人の混乱や不安の原因になりやすく、観察が重要です。
リサ:これらの症状は、日常生活でどのような影響がありますか？
久保:見当識障害が進むと、予定通りの行動が難しくなり、食事や服薬も忘れがちになります。例えば、夜間に何度も起きてしまうなど睡眠リズムが乱れることもあります。これが続くと健康状態にも悪影響を及ぼすため、早めのケア対応が必要です。
見当識障害が発症する主な原因は何ですか？
リサ:見当識障害はどうして起こることが多いんでしょうか？
久保:主な原因は認知症、特にアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症による脳の機能低下です。また、脳梗塞後遺症や頭部外傷、脳腫瘍、さらには一時的なものでは脱水や感染症、薬の副作用でも見当識障害が出ることがあります。原因によってケアの仕方も変わるため、医療機関での診断が重要です。
リサ:なるほど。例えば認知症以外の原因で見当識障害が出た場合、改善の可能性はありますか？
久保:はい。例えば脱水や感染症が原因なら、それらを治療すれば見当識は回復することがあります。逆に認知症の場合は進行性なので完全回復は難しいですが、環境調整やリハビリで症状の進行を遅らせることが目標となります。
見当識障害はどのように診断されますか？
リサ:医療現場では見当識障害をどうやって診断するんですか？
久保:診断は主に簡易認知機能テストで評価されます。例えば「長谷川式認知症評価尺度」では、日時や場所、自分の名前を質問し、正しく答えられるかを点数化します。この得点が低いほど見当識障害の可能性が高いですね。さらに脳の画像検査や血液検査も行い、原因の特定に役立てます。
リサ:点数の目安はありますか？
久保:長谷川式認知症評価尺度は30点満点中、20点以下が認知症を疑う目安です。見当識に限っては、3～5問程度の時計や場所、日付の質問で評価し、答えられない項目が多いほど障害の可能性が高まります。
デイサービスで見当識障害をどのように評価しますか？
リサ:デイサービスにおける見当識障害の評価はどうなっていますか？
久保:デイサービスでは利用開始時だけでなく定期的にスタッフが見当識のチェックを行います。具体的には、日付や場所を尋ねたり、行事やレクリエーションの場面での様子を観察し、認知機能の変化を記録します。こうした日常的な観察は、医療機関のような詳細なテストとは異なりますが、利用者の安全を守るうえで非常に重要です。
リサ:スタッフの観察で気づいた変化はどのように活かされますか？
久保:変化が見られた場合は医師やケアマネジャーに報告し、必要に応じて通所リハビリや医療機関の受診を勧めます。また、見当識障害に応じた個別の介護プラン作成や環境調整も進められます。
見当識障害がある利用者へのケア方法は？
リサ:見当識障害がある方への具体的なケアのポイントは何でしょうか？
久保:まずは安心感を与えることが大切です。例えば、本人の好きな写真や名前の入った名札を身につける、わかりやすい時間表示のカレンダーを部屋に置くなどがあります。また、こまめな声かけや一緒に活動することで、不安や混乱を和らげます。環境はなるべく変えず、日常のリズムを守ることもケアのポイントです。
リサ:転倒や徘徊の対策も必要ですよね？
久保:はい。見当識障害による位置感覚の混乱が転倒や徘徊のリスクを高めますから、床に滑り止めを敷いたり、出入口の施錠やスタッフの巡回を強化するなど、安全管理を徹底します。これにより事故の発生を減らせます。
見当識障害が進行した場合の注意点は何ですか？
リサ:症状が進むとどのような点に注意する必要がありますか？
久保:見当識障害が進むと、自己の認識が著しく低下し、不安や混乱から暴言や拒否反応が出ることもあります。また、飲食の管理が難しくなり、誤嚥や栄養不足のリスクが高まります。スタッフやご家族は慌てず見守り、医療的なサポートも取り入れることが求められます。
リサ:夜間の対応についても気をつけるべきでしょうか？
久保:はい。夜間の徘徊や不眠など睡眠障害も増えるため、照明を落としすぎず、静かな環境を作ることが大切です。また、夜間のスタッフ体制も強化し、転倒や事故を防止します。
見当識障害の改善や緩和に役立つリハビリはありますか？
リサ:認知機能のリハビリで見当識障害が改善することはありますか？
久保:完全な回復は難しい場合が多いですが、記憶や注意力を維持・向上させる認知リハビリは効果的です。例えば、通所リハビリ（通所リハ）で、脳トレや社会参加、身体運動を組み合わせながら行うことで、見当識の悪化を遅らせ、生活の質を保てます。
リサ:具体的にどんなリハビリ内容があるんですか？
久保:パズルや計算ゲーム、写真を見て思い出す訓練、そして散歩や軽い体操といった身体と頭を使うリハビリが中心です。これらは週2～3回、１回あたり1時間程度行うことが多いです。
見当識障害について家族やスタッフができるサポートは何ですか？
リサ:家族や施設スタッフが日常でできる具体的なサポートは何でしょう？
久保:まずは見当識障害について正しい理解を持つことが大切です。そして、利用者様が安心して過ごせるよう、優しくこまめに話しかけたり、環境を整えたりします。具体的には、大きめの時計やカレンダーの設置、日常の予定を分かりやすく伝える、困った時にはすぐ助けられる体制づくりなどがあります。これにより、利用者様の混乱や不安を減らし、家族の負担軽減にもつながります。
リサ:家族が気をつけるべき言動などはありますか？
久保:例えば、「また同じことを聞くの？」など否定的な言葉は避け、繰り返しの質問には根気よく応じることが大切です。焦らず穏やかに話すことで、利用者様のストレスを減らし、コミュニケーションを円滑に保てます。